世界的なベーシストT.M Stevensに誘われるままワシントンD.C.に降り立った2013年大晦日のひとり旅、後編です。D.Cに着くとあまりに閑散とした駅の様子に震え上がりつつ、Dr. JohnとT.M StevensのNew Yearコンサート目指して駅前の黒いバンに乗り込みました。初めて訪れるワシントンD.C。NYと勝手も違えば、地図もない。「生きて帰ってこられるだろうか?」ちょっとドギマギしながら。
それらしきところに行っても誰もいない。間違いだと気付くも携帯電話の電池がきれて行先不明。T.Mから聞いたウル覚えのコンサート会場の名前を人に聞き回りながらなんとか会場に到着。
もう演奏が始まっている?!
聴こえてきたのは前座のバンド演奏。「なんとか間に合った!」
安堵とともに、空腹と疲れで床にしゃがみこみ
「あー、立ち上がれる気が全くしない・・・」
そこへ。来場者全員にふるまわれるらしきニューオリンズ郷土料理、ガンボが登場。オクラと魚介のスープが瓶詰めになって運びこまれます。
ウェイトレスに差し出され歓喜してパクついていると「いい食べっぷりだ」と笑いながら気のいいアメリカ人がグループの輪に入れてくれました。
初めて食べる絶品濃厚ソースに思わずジタバタ、美味しいやら、ひとりっぽっちでなくなりウレシイやら☺️
ライブを楽しむ準備は万端。いよいよお待ちかねのDr. JohnとT.Mの登場です。
↑Dr.Johnが2013年グラミーを受賞した『Locked Down』Dr. Johnが孫にブラック・キーズを勧められたのが共演のきっかけなんだそう。
演奏を聞いてると本能的に踊り出しちゃう感じ。
たぎるファンクネス。
会場の熱気が最高潮になり、Dr. Johnはものすごい存在感を放ち漲るエネルギーに観ているこちらはのけぞります。なんと太陽のようなオレンジ色の光を放っていて神々しい✨
T.Mのファンキーで強靭なベースとも相性良し、ホーンも最高。
グループみんながあたかも昔からの知り合いのように飲み交わし、音楽にはしゃいで踊る楽しいひと時。
ライブ終盤前方にいくと、T.Mがステージから私を見つけ出してくれました。
ラストの曲が終わった直後にT.M StevensはDr. Johnを讃えそして「日本から友達が来たぜい」とマイクで話しながら私をステージに引っ張り上げ、そのまま楽屋へ直行。
うれしかったけれど、一緒にはしゃいでくれたお兄さん、お姉さんたちに最後お礼を言えなかったのは今でも心残りです。
心細さに明かりを灯してくれたその優しさに心から感謝を。もう会うことは叶わない、けれども今でも愛しい人たちです。
楽屋に行くと、お寿司やらシャンパンがあって、T.MとDr. Johnとその仲間たちとご飯を食べました。
パワフルなショーとは打って変わって、ステージ後のDr. Johnの歩く姿はスローモーションのようにゆっくり。寡黙でどっしりとしていて「話しかけづらい」と思ったのも束の間、ニッコリ「日本からようこそ」って歓迎してくれました。
それがこの写真。
談笑し、新年のお祝いで楽しい宴は続きました。
あれから月日はながれ、
2019年6月、Dr. Johnの訃報をジョージ・クリントンのインスタで知りました。
ジョージ・クリントンとはまさにその前の月(2019年4,5月)に再会することができた私は、レジェンドの元気っぷりに心弾ませていました😆
その矢先のDr. Johnの訃報。ショックで涙しながら、彼の演奏を思い出します。あのしゃがれた声、破天荒なステージング。そうだ、彼の音楽は生き続ける。
Dr. Johnのtwitterは未だ更新され続けていて、あの日あの時の巡り合わせを愛おしく思います。
— Dr. John (@akadrjohn) June 6, 2019
天国でも彼のファンキーなサウンドが鳴り響いていますように。
クリント・イーストウッドがDr. Johnを訪れるこのドキュメンタリー。
Dr. Johnのピアノサウンドが最高です✨いつかのステージとはまた違う味わい。グッドミュージックにお酒を飲みたくなりますね。