インドヨガと『モモ』

「目を閉じて。いまあなたは行こうと思えばどこにでも行ける。そしてあなたがなりたいと思うものにはいつでもなれます。’いつか’ではなく、’いま’この瞬間からあなた自身がそう決意して生活してみてください」

5月に経験した「おうちでインドヨガ留学」でのインド人のグルジの言葉。そうだ。どんな状況下でもいまを生きるんだ。制約すら味方につけて軽やかに変化してみせるぞ!そう心に決めて5月からじぶんと向き合いながら必要な学びを得るアップデートの期間を過ごしてきました。

イギリス在住の演劇指導者のさち先生と演劇人との戯曲読解オンラインクラス、そして伸び悩む英語力に喝を入れるべく英語学習を見直してスピーキングに特化したフィリピン英語講師によるスパルタ式英会話まで。思いの外ハードになってしまったけど自分で選んだことだから楽しさの連続です😊

英会話クラスは平日早朝に担当講師から15分間のSKYPEレッスン、他のクラスは週末、祝日の開催だから大丈夫!と思いきや、授業前後の予習、復習時間を入れれば毎日注ぐべきエネルギーはかなりのもの。英会話は1日最低でも30分強の宿題は必須で、理解するまで集中すると1時間はあっという間に過ぎ、加えて戯曲読解オンラインクラスは授業時間外の平日夜にペアを組んだパートナーとオンラインで戯曲の解釈についてディスカッションや読み合わせをしていました。そんなこんなで、ブログをセーブして仕事と授業に没頭していましたが、ここ数ヶ月で特に印象深い出来事を少しずつここに残します。

緊急事態宣言からいまに至るまでを振り返れば、家に閉じこもっているのにオンラインで旅したような、時空を飛び越えたような感覚すらします。自分の呼吸の仕方、ペースがちょっと掴めてきて自分軸も定まってきたと言えるかな。そうはいっても前進すれば見える景色が変わり新たな課題を発見してまた実験、の繰り返しです。

永らくヨガからは遠のいていましたが、ヒマラヤの麓に住むインド人のヨガの先生にZOOMでヨガや古典ヨガ哲学を通して、人が持つエネルギーや呼吸、瞑想を学びました🌱ほんの短い時間ではあったものの時間を数字で数えることになんの意味も持たないと思えるほど、貴重なひとときでした。

授業の締めくくりにZOOMアフターパーティーがありました。そもそもこのクラス、本来ゴールデンウィークにインドでヨガ留学が開催される予定だったはずが新型コロナの影響で急遽オンラインクラスになったと言うもの。なので、そこに集う生徒さんもヨガ歴が長くみなさん顔馴染みの間柄のようでした。

そこにぽつんとひとり加わったので、パーティーにはひっそり参加しているとインド人の先生が「ひとみ、ぼくたちは以前会ったことがあるかな?」とZOOMの画面越しにニコニコと話しかけて下さいました。先生にお会いしたのは6年前の、先生が来日された時のこと。

そう答えると、

「久々にどんなことを感じましたか?」と尋ねられたので、いま思っていることを素直に伝えました。

「会社も創作も勉強も毎日忙しくて一度はヨガを諦めました。でも昨年演出家からも憧れのダンサーからも表現に取り組むのにヨガは大切だと言われて今回再びそのきっかけ作りに参加しました。古典ヨガ哲学に魅せられ楽しい時間でしたが、このクラスを終えたときに元の生活に戻っていた、ということのないように少しでも続けられるコツはありますか?」

するとインド人の先生は笑顔で

「どんなに忙しくても124時間はある。長い時間を確保しようとしなくていいから115分でいい。ヨガの時間を確保しましょう。からだに向き合う時間だけは、秘書をしているあなたでも女優をしているあなたでも何かの役割を担っているあなたではありません。ひとりの人間として存在出来ます。じぶんの心とからだに思いを馳せて、あなただけのあなたらしくいられる時間を持つと思って楽しんでやってみてね」

シンプルな回答にすっと背筋が伸びました。温かい笑顔に包まれて心がほっとします。初歩的なことを聴いても真摯に答えてくださった先生に心から感謝を。穏やかでいながら目がキラリと輝いて、いつもなら絶対辛くて泣きそうになるポーズも先生となら楽しくできちゃうから不思議です。そしていまその瞬間を生きている人が発するエネルギーはとても清らかで周囲の人を明るくしてくださいます。あーいいなあ、わたしもそんな人でありたいなあ。

ミヒャエル・エンデ『モモ』
エンデ本人が書いた挿絵も一層ファンタジーにのめり込ませてくれます。

この先生のクラスからふと読み直したくなったのがミヒャエル・エンデの『モモ』。いまEテレ「100de名著」でも特集されていますね。

時間とは?生きることの豊かさとは?根源的な問いを子供から大人まで問いかける不朽の名作です。そして彼が紡ぐファンタジーは想像の翼をぐんと広げてくれる強さがあります。

小学5年生の今の時期に読書感想文で、「時間がない!とせかせかする大人にはなるまい」と書いたはずなのに、はて大人になったいまのわたしはどうだろう?

そして時代が大きく変わろうとしてるいま、まさに読むべき書。廃墟となった円形劇場が舞台というのもいまの危機的状況と重なります。

残り少ない夏の間に読み直します。皆さんにもおすすめです📕

 

 

プロフィール

川嶋一実
川嶋一実
週末女優-女優×製薬会社OL-
聖心女子大学卒。現役OLかつ国内外で舞台・映画出演の他、メディアでの執筆など活動の幅は多岐にわたる。
2011年人生の転機を求めてひとりニューヨークに飛び込み、翌年アメリカで舞台『HITOMI』に主演。
以降、女の二人芝居『たまことゆかり』(作:五戸真理枝/文学座)をプロデュース・主演したり、ドイツの報道番組で独自のライフスタイルが紹介された。現在、TEDxTalksでのトーク動画『The Power of Diving into a New World 飛びこむ力』が公開中。今後は映画製作に挑戦する。
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